25.Calmi Cuori Appassionati
Calmi Cuori Appassionati
(辻仁成/冷静と情熱のあいだBlu 95頁から引用)
イタリア語で冷静と情熱の間。かの有名な小説の副題です。
皆さん読んだことありますか?未だに恋愛のバイブルとか言われてますよね。失楽園で不倫が社会現象になったように、この小説や映画が出た頃はまた恋愛ブームになったそうですね。
若い頃付き合っていた2人が10年経って再開する…までの想いを2人別々の視点から見る、という小説。ま、男女別々の本なんだけどね。
別れてから別々の道を歩むことになり、会うこともまったくなかった2人なんだけどなぜ会う事になったのか。それは彼女の他愛ない一言によるもの。
「あのね、約束をしてくれる? 」
「どんな?」
「私の三十歳の誕生日に、フィレンツェのドゥオモのね、クーポラの上で待ち合わせをするの、どう? 」
「でも別に、待ち合わせなんかしなくてもいいじゃないか。三十歳の君の誕生日にいっしょに行こうよ」
「そうね、二人が別れていなければ」
「 へんなこと言う。それじゃまるでぼくたち別れちゃうみたいじゃないか。君は予言者かい?」
わかんないわ。未来のことは。だからね、今日を大切に思うのなら、約束をして欲しいの。今日のこの気持ちをいつまでも自分たちのものだけにしたいから約束をするの。私の三十歳の誕生日に、クーポラの上で待っていて」
鳥肌が立ちました。
当時自分は高校生だったんですが、この部分に衝撃を受けてしまって何度も何度も読み返したのを今でも覚えています。
で、当時付き合っていた彼女(彼氏じゃないよ笑)にこんな事を言いました。
「あのさー、オレの20歳の誕生日に京都の清水の舞台で会おう」
「え、なんで?」
「何でも。例え別れていたとしても必ず」
「変なこと言うね」
「約束しろよ。何があっても必ず来るって」
くっくせーwww
青臭くて書きながら鼻水出たわww
いやー若かったよね(遠い目)
で、その子とは自分の上京をキッカケに別れてしまったんですが。
迎えた20歳のオレの誕生日。
行きましたよ。ええ、行きましたとも。
秋の京都。夕日傾く清水の舞台。いやー完璧なシチュエーションだわ。
時刻は17時を少し過ぎたところ。キョロキョロまわりを見回してみるけど、彼女の姿は無し。
(覚えてねーよなぁ、あんなくだらない約束…)
と、内心苦笑いしながらも一応待ってみる事にしました。ま、どっか期待してたんでしょーね。20歳の時点ですでに女にまったく興味は無くなっていたけれどもw
17:30…18:00…18:30…
時間は進むけれど彼女の現れる気配は無し。
(帰ろうかな…まだ新幹線あるし)
そう思い始めたその時、
来た。
キョロキョロしながら舞台に近づいてくる1人の女の子。ハッ、とした顔でこちらが見つめると相手も気づいたらしくハッとした顔をする。
「あ…」
「あ、うん。久しぶり」
「うん。元気?」
少しギクシャクしながら、2人並んでお話。風の噂で東京の大学に来たと聞いていたので、東京から来たのかと聞くとやはりそうだという彼女。
「覚えてたの?」
「うん。約束したから」
多くは他愛ない話だったけど、一つだけ心に残ってるのは「変わったね」という言葉。
「昔と変わらないように見えて、やっぱり雰囲気変わったよね。人って変わるのかな」
そんな風に一時間くらい話をして、それで終わり。
「またね」
「うん。またどこかで」
そう言ってお互い行き先も聞かずに帰りました。
…ま、多くは語りません。各々色々思っていただければな、と。笑
冷静と情熱の間。それは「複雑」だと思ってます。複雑が果たして何をどう指すのかはそれこそ人それぞれだとは思いますが(漠然とし過ぎか…)
清水のあの出来事は今となってはいい思い出です。
皆さんもそんな約束をしてみてはいかがでしょう。
じゃ、今日はこの辺で。
しかしくっせー話だわwww